姫乃たまのR18 第5回「SとM」

物書きと編集者のSM関係

マゾじゃない物書きっているんでしょうか(何時間も書き出しを悩んだ末)。

 自分しか読まない日記ですら、書くのを躊躇う瞬間が訪れるのに、自分の内面を見つめて、わざわざ言葉にして、人に伝わるように文章で書き直して、さらにそれを編集者に見せて、自分のことなのに赤字を入れられたり。そうやって散々恥ずかしい思いをしたり傷ついたりしてできたものを、最終的に世間に公開して、場合によってはたくさんの人に読んでもらうために宣伝までするって、苦痛に快感を覚えているとしか思えません。あるいはその行為自体が快感であるという人も、自分の内面を社会に露呈させるのが好きという点で、精神的な露出狂というか、やっぱりマゾの属性なんじゃないかと思います。

 仕事で文章を書いていると、締め切りを決められたり、自分の内側をより深くまでさらけ出すことを求められたり、編集者とSM的な主従関係にあるような錯覚に陥りますが、時々編集部に行くと、その編集者の顔がカップラーメンとカフェインの錠剤を摂取し過ぎて土色になっていたり、デスクの下に寝袋があったりして、世界にはマゾしかいないんじゃないかと錯覚します。

 いつか編集者から、「締め切りを過ぎていつ届くかわからない原稿のために、自分の人生の時間を削って待機するなんてマゾじゃないとできない」と言われた時は、おっかない気持ちになりました。物書きが執筆に苦しんでいる時、編集者もまた人生を削られる苦痛に耐えているのです。

 なぜ、それでも文章を書くのか。なぜ、編集者は原稿を待ってしまうのか。

姫乃たまのR−18

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PROFILE

姫乃たま(ひめのたま)

地下アイドル/ライター 1993年2月12日、下北沢生まれ。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへの出演を中心に、文筆業も営む。音楽ユニット 「僕とジョルジュ」では、作詞と歌唱を手がけており、主な音楽作品に『First Order』『もしもし、今日はどうだった』、僕とジョルジュ名義で『僕とジョルジュ』『僕とジョルジュ2』、著書に『職業としての地下アイドル』(朝日 新聞出版)『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)がある。

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