姫乃たまのR18 第3回 「恋とおじさん」

コラムタイトル第三回

アイドルとおじさん

 自分の曲に「変な恋」というのがあって(普段は歌を歌っているのです)、ライブで曲目を書くたびに、「恋な変」とか「変な変」とか書き間違えてしまうのですが、実際に恋をしている人のほとんどが、変になっていると思っています。

 地下アイドルという職業は、人に好いてもらうのが主な業務なので、面識のない人からも好かれる特殊な仕事です。
 たとえば私には昔から、自分の予定や日々の生活について時々メールを送ってくる知らないおじさんがいます。日頃から頭の中で私に話しかけていて、それがメールという現実の行動に漏れ出しているのでしょう。私を恋人だと思っているのです。

 私の知らないところで、私を恋人だと思い込んで生活している人がいる事実は、とても楽しそうで私を愉快な気持ちにさせます。同時にこの愉快な気持ちには、恐怖を感じないための防衛本能が含まれていること にも気がついています。職業柄、怖がっていても仕方ないのですが、怖いことに変わりはありません。大人の男性は私よりも力が強いからです。

 それは恋なのか? と思われるかもしれませんが、恋愛対象が見えていない点において、メールも現実の恋もあまり変わらないように思えます。
 恋によって平静が保てなくなれば、現実に顔を合わせていても、相手の本質を見失いがちです。普通に生活をしながら、正体をなくせるところが恋の魅力であり、恐怖なのです。

PROFILE

姫乃たま(ひめのたま)

地下アイドル/ライター 1993年2月12日、下北沢生まれ。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへの出演を中心に、文筆業も営む。音楽ユニット 「僕とジョルジュ」では、作詞と歌唱を手がけており、主な音楽作品に『First Order』『もしもし、今日はどうだった』、僕とジョルジュ名義で『僕とジョルジュ』『僕とジョルジュ2』、著書に『職業としての地下アイドル』(朝日 新聞出版)『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)がある。

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